Kiyoaki Takashima/ 高嶋清明のBLOG

カテゴリー: 昆虫

  • モルフォの鱗粉

    前日より鮭川村に。これから始まることに胸が躍ります。。。
    永幡さんとも随分久しぶりに会いました。夜に虫の声を聞きに行ったとき以来?

    標本箱を手にプレゼンされる彼の話にいつもながら流石だなあと感心しておりましたが、途中から標本箱の中身に雑念がむくむくと生まれておりました。そこに並んでいたのは10種ほどのモルフォです。
    モルフォの鱗粉!超マクロ撮影にはうってつけの題材です。
    休憩時間にお願いして撮影させてもらいました。

    レテノール・モルフォです。

    流石に美しい。まるで屋根瓦のように整然と並んでいます。

    角度を変えるとこうなります。鱗粉自体には色素がありません。
    美しい青は構造色で、鱗粉の表面に刻まれたミクロの溝が青の光だけを反射します。
    (↑かなり簡単に書きました。もっと複雑な仕組みです)

    横幅2mmの世界ではその微細構造はまるでうかがうことができません。
    もっとうんとミクロな世界です。

    ただ、鱗粉のはがれている辺りに面白い発見がありました。

    ギリギリ鱗粉のソケットが見えます。下はその部分拡大

    ソケットとは別に、乳白な感じの楕円形の物体が鱗粉の両肩を押さえているように見えます。

  • 繭の模様

    イラガの繭の模様をアップで撮影して気づきました。

    黒い模様は黒い糸の集まりなこと。
    濃い黒の部分より、黒がかすれたようになったところを見るとよくわかります。

    となると、幼虫は黒くなる糸と白くなる糸を使い分けて模様を作っているのではないでしょうか。
    そして大方決まったところで、白く泡を吹く液体を出して、模様を浮かび上がらせている・・・
    そう思えてなりません。
    あの模様は、偶然できるものではなく、幼虫がこう作ろうと考えて作ったもの・・・何だか楽しくなります。
    ただし・・・・想像ばかりではいけません。もう少し詳しく調べてみたいと思います。

    以前にYouTubeに載せたイラガのマユ作りの映像を、また再び紹介しましょう。

  • イラガ 繭の中

    丸くあいた穴から、中の幼虫を引っ張り出してみました。

     

    まるで生気がありません。
    前蛹とは分かってはいますが、だいたい今まで見ている前蛹って脱皮を前に細かく運動しているものです。
    触ればピクッと緊張したり何か反応してくれます。それがイラガの前蛹は全然。

    ピンセットでつまむと柔らかくつぶれて、そのままダラリと戻ってきません。
    これはもう死んでいるに違いないと、もう一つの繭からも引っ張り出してみましたが同じ状態でした。
    越冬であり、長期に渡る休眠で、代謝を極端に落としているのでしょう。

    お腹側もつるっとしていて、何がどうなっているやら・・・

    よく見れば六本の胸脚がわかります。頭部は肉角(?)に隠れてまるで見えません。

    気門のアップ

    ダランとしたままの幼虫は、またもとの繭に押し戻してみました。
    腹脚は粘着質で引っ張り出すときも苦労しましたが、もどすときも引っかかって困りました。

  • キノカワガ

    キノカワガの撮影に山形市の某所を訪れました。
    そこは前の冬に見つけたポイントで、一本のアベマキの木です。

    嬉しいことに今年も越冬中の姿を見せてくれました。それも1度に5匹です!

    キノカワガがとまっているのは、決まって真横に長くのびた太めの枝です。
    そして、必ず下側の、雪がかからない部分を選んでとまっています。
    雪国でのキノカワガの越冬スタイルはこうでないとダメなんだということなのでしょう。

    ここには2匹並ぶようにとまっていました。

    上の2匹を別カメラで

    小諸や安中、高崎などで見たキノカワガは、まっすぐ真上にのびたケヤキやエノキ、クヌギの太い幹にとまっていましたが、雪国でそのスタイルは問題ありなのでしょう。4回目の冬ですが、幹にとまって越冬するキノカワガをまだ1匹として見つけておりません。

    枝の下にもぐり込んで見た図

    雪どけ水がかすめるように流れていますが、とりあえずOK。

    気温が上がると動くこともできるようです。

    指でそっと触ってみると、意外に機敏にススッと動きましたから。

  • キノカワガの頭部

    無茶を承知で頭部の深度合成にトライ。

    確か4倍で撮影した10枚から深度合成。複眼の、触角の向こう側の部分に破綻が生じております。

    若干の問題ありですが、整然とならぶ鱗粉の様子は本当に美しいです。