Kiyoaki Takashima/ 高嶋清明のBLOG

ササキリ

鶴岡でササキリの声を聞いたことがありません。ですから、どこか南国の匂いのするササキリは、県内にはいないもんだと思いこんでいました。ササキリがいればすぐに分かります。何しろあの声は、小諸時代に時々訪れた安中や高崎で何度も撮影しながら、しっかり耳にたたき込んでいますから・・・

ところがです。法事で山形の実家を訪れた時、その自信が吹っ飛ぶような状況が待っていました。車から出て、数歩歩いたところで、なんとササキリの声が聞こえるじゃありませんか。声のする方を確かめると、はい、間違いありません。そこで翅を震わせていたのはササキリでした。


▲名前のとおりに笹藪で鳴いていた雄。でも笹藪にしかいないわけじゃありません。

▲ハギにとまって鳴く雄。この後、くるりと向きを変えて花を食べました。

昨年、宮城県山元町の海岸近くで思いがけずササキリの声にであって、場所が場所だけに喜んだのですが、実は東北の広範囲に分布しているのではないでしょうか。しかし、何より生まれ育った土地にササキリがいたことを知らずにいたというのは相当にショックです(笑)。鳴く虫を本格的に調べ始めたのが長野に移ってからのこと。それ以前に、関心がなかった自分に聞こえるものも聞こえなかった可能性は高いです。

更に近所を歩いて、クサヒバリもカネタタキも鳴いていることに気づきました。これらも昔はいなかったはず。みな、アオマツムシのように最近になって移入してきたものと思いたいのですが、でも自信が持てません。子供の頃の記憶など、何かもうあてになりませんわ。。。

10/1夜、山形の永幡さんと電話したとき、このササキリの話にもなりました。そこでやっぱり、ササキリも最近になって何か庭木や草花(土を含む)と共に一時的に入ってきたものだろうということに落ち着きました。これは全くもって可能性の高いことで、実家の周辺はこの数年で新しい家がどっと増え、すっかり様変わりしています。

しかし、困ったことに、私は先のショックはよほど大きかったようです。自分の子供の頃の、今より笹藪がもっと深かった時の様子が蘇ってきて(これは事実)、そこにシリシリ・・・と寂しく鳴いているササキリの姿がリアルに浮かんでくる妙な感覚が取れずにいます。


“ササキリ” への22件のフィードバック
  1. 小学校教員

    仙台市中山ですが、自宅庭にカネタタキ、クサヒバリ、ササキリ、アオマツムシがいます。鳴く虫も、温暖化で北上中です。山形県の日本海側は、海流の影響で元々太平洋側よりも暖地系の昆虫が多いのではないでしょうか。新潟県には、ハラビロカマキリもいます。東北地方でも、将来、クツワムシやハラビロカマキリ、ヒラタクワガタなどが北上してくることを期待しています。チョウの仲間は、どんどん北上しているので。

  2. 高嶋 清明

    コメントありがとうございます!仙台市の方ですね。
    日本海側が分布北上が進んでいると思われるのは、キンヒバリとカヤキリです。仙台平野はいかがでしょう。なかなか調査に行けないので、もしご存知でしたら、またコメントください。初夏に鳴いているクビキリギスも気になります。
    温暖化にはネガティブな話しか聞きませんが、色々分布を広げてくれるのは、私も密かに期待しています。マツムシも来てほしいですね〜

  3. 小学校講師

    私が書いたものか記憶が定かではないのですが、続編を書きます。最近目に付く蝶は、〇〇ヒョウモン。パンジーを食べています。子供の頃川崎に住んでいてよく取ったクビキリギスを最近広瀬川で採りましたが、だいぶ前から居たよう。注目すべきは、去年、前任校の先生が、ハラビロカマキリを採集したと言っていました。今年全く別方向の学校に赴任したのですが、校庭で小さいながらもハラビロカマキリを採集したのです。きっと竹ぼうきの卵から生まれたムネアカかと思いきや、本当のハラビロカマキリでした。だいぶ前に埼玉県まで苦労して採りに行きました。定着しているのかもしれません。

  4. 高嶋 清明

    仙台のクビキリギス!興味深い情報をありがとうございます。今年4月末、福島市の友人宅でクビキリギスの合唱を聞いてきました。日本海側は、酒田で何度か声を聞いていますが、まだ数はとても少ないです。
    ハラビロカマキリは、鶴岡の私の近所でも毎年わずかに発生します。そのうち普通に見られるようになるでしょうね。

  5. salt仙台

    3回目です。歳は取っていますが、子供の頃からの虫好きです。ヒョウモンチョウの名前は、ツマグロヒョウモンでした。移動性の高い蝶に関しては、モンキアゲハやウラギンシジミなど新たに生息したと思われるものが以前から枚挙にいとまがないほどおり書き切れません。温暖化で、昆虫の世界に異変が起きています。仙台は、柳の木にクワガタが付くのですが、ここ10数年で柳の木が枯れ、ミヤマクワガタが減り、暑さや乾燥に強いノコギリクワガタが増えています。秋になると涼し気な音色を響かせていたカンタンや弱々しい音色のセスジツユムシもあまり存在感がない。減ったのだろうか。(アオマツムシなどに音色がかき消されていることもあるだろうが。)変化はこれからもどんどん加速しそうです。これからも気づいたらお知らせしましょう。

  6. salt仙台

    最近、夜にササキリモドキがよく部屋の中に入ってきます。これも南方系で以前にはいなかったものです。クビキリギスに関しては、広瀬川のほかに名取の多少標高のある里山にもいたので、広範囲に定着しているようです。ハラビロカマキリはやはり偶産かとは思われますが、昨今の気温の上昇を考えると、今後定着する可能性があるように感じます。また、庭のオオカマキリを見ていると、温暖化で生育期が高温になったせいか以前に比べてサイズが大きくなったように思います。(以前の仙台はやませがあり、夏の気温が今よりだいぶ低かった。)

  7. 高嶋 清明

    ササキリモドキも色々いますよね。よく灯りにくるというとヒメツユムシでしょうか。ツユムシとついていますが、ササキリモドキの一種です。
    オオカマキリは温暖な地方だと大型化するはずです。幼虫の齢数も増えて、その分大きくなると。

  8. トンボ鳴く虫大好き

    初めまして。
    ササキリは宮城県では普通に笹藪でジキジキ…と鳴いています。海抜400M の栗駒山麓にまでいます。
    クビキリギスは宮城県でも仙台市以南では普通種で、南三陸町の灯りにも普通に見かけます。暖冬な年の春は特に仙台市内あちこちから超音波的な声を聴きます。
    カネタタキは何故か富谷市まではかなり沢山いますが、大和町からは鳴き声を聴いていません。
    クサヒバリも少ないですが民家の庭から声がすることがあります。15年前に農業園芸センターで採集しました。
    ミツカドコオロギは南三陸で死骸を見ています。
    今は宮城県にシブイロカヤキリが居るかもと気に掛けています。

  9. 高嶋 清明

    トンボ鳴く虫大好きさん
    コメントありがとうございます。色々北上していますね!
    日本海側のクビキリギスももっと伸びているのかな・・・最近、加齢のため、クビキリギスもササキリの声も聞こえにくくなってきました。かなしい。。。
    ところで、意外にもクサヒバリはそれほど伸びていないのかなと思いました。こちら鶴岡ではカネタタキと共にかなり声を聞きます。カヤキリ、キンヒバリも大分増えました。

  10. 匿名

    キンヒパリは全く聴いた事がありません。きっと仙台市、宮城県には居てもかなり稀なのかな…
    カネタタキが網戸から侵入して部屋で鳴いていて嬉しいやら早く逃げて行って欲しいやらです…
    カヤキリを一度でいいから見てみたい、触ってみたいです。捕まえてもまだ鳴いているというカヤキリはクツワムシ以上に憧れの虫です。昆虫オークションで買おうか、毎年悩みます。

    一つ謎があります。
    海抜600M の栗駒の温泉宿近くで6月にツヅレサセコオロギのような声がします。温泉の地熱で早く成虫になるのか?ナツノツヅレサセコオロギなど居るわけがないでしょうし…

    かつては居なかったであろうサトクダマキモドキは卸町の公園や自宅前にもいました。
    今年はクサキリ、ヒメクサキリの声がかなり少ない感じがします。もしかしたら急増しているクビキリギスとの関連かな?と思ったり…

  11. 高嶋 清明

    匿名さん
    すごく気になったのは、温泉近くの6月の声です。ナツノツヅレサセはツヅレサセコオロギとほぼ同じ声のようですね。自分は出会いがなくです。ちょっと声質が違いますが、温泉宿近くで鳴いているとは、カマドコオロギなんてことはないでしょうか?
    コメントありがとうございます!

  12. salt仙台

    新しいことではないですが、宮城県は、過去に夏場の気温が低かったためか、ヒガシキリギリスの産地が、東北地方の日本海側に比べ限定的です。私が確認しているのは、泉岳、鳴子、七ケ宿、仙台市内の七北田公園。もう一つ、ヤブキリですが、高木の梢でツーツーと鳴くものと低木でシリシリと鳴くものがいる。これは、別種なのか?同種としたら、将来種分化するのではないか。(交雑不能)

  13. salt仙台

    庭にアオマツやカネタタキの来た頃から、コロギスが消えた。今年は、ヤブキリの声もない。カンタンもあまり見ない。セスジツユムシも減った。そういえば、昆虫全般の数も減っているような気がする。35度ともなると昆虫もさすがにだめなのだろう。蚊もいなくなる。後、乾燥も致命的かも。なぜかミヤマクワガタは、たくさん捕れたけれど。

  14. salt仙台

    宮城県のキリギリスの局所的な分布域に亘理町を付け加えます。果たして宮城県のキリギリスの分布域は拡大してきているのでしょうか?30年前の夏は「やませ」というものがあり、冷夏もあったのですが、いまでは、考えにくい。柳の木が減ると共に、クワガタの種類がミヤマクワガタからノコギリクワガタに変わってきた。

  15. 高嶋 清明

    salt仙台様。宮城県の鳴く虫情報、ありがとうございます!
    ヤブキリとヤマヤブキリの違いでしょうか。
    ツーツーが短く区切る鳴き方とすればヤマヤブキリかと思います。

    こちらもたった10年の間に、鳴く虫の聞こえ方が大分変わってきたように感じます。キンヒバリはずいぶん増えましたし、カヤキリは鶴岡市の市街地にも声を聞くようになりました。

    ところでセスジツユムシは本当に減っていますか?
    私は現在56歳ですが、聞こえない鳴く虫の声が増えてきました。
    セスジツユムシもその一つで、庭でも見かけるのに、ここ数年声を聞いていません(涙)。ハヤシノウマオイも時々聞こえますが少なくなったように感じますが、きっと、耳の能力が落ちてしまったためと思っています。

  16. salt仙台

    確かに、歳を取ると高温が聞き取りにくくなるそうですね。(当方65歳です。)後、家(庭)では、現在は飼っているキリギリスとフタホシコオロギの鳴き声が良く聞こえるのですが、もう少しすると、アオマツムシのあの圧倒的な声に全てかき消されます。

  17. salt仙台

    カヤキリが鶴岡にいるというのは、驚きです。わたしは、大分と和歌山でしか見たことがありません。太平洋側は、茨城かせいぜい磐城辺りでは無いでしょうか。東北地方でも、太平洋側と日本海側で、分布域がだいぶ違っていることを改めて感じます。それとも、カヤキリも意外に近くまで北上しているのでしょうか。成虫越冬のクビキリギスも、寒い東北地方に適応しているのですから。(ツマグロヒョウモンやアオマツムシすでによく見かける昆虫になりました。)

  18. salt仙台

    家内の実家の墓が鶴岡にあり、10年以上前(10〜15年前?)に、アオマツムシ虫とカネタタキがそこで鳴いていて、「仙台にも来たらいいのに。」と思った記憶がある。その頃、確かアオマツムシが東北縦貫道のサービスエリアを拠点に、じょじょに郡山辺りまでは北上してきていた。ところで、鳴く虫は15度以下になると鳴き声がピタッとやむ。昆虫の活動温度の下限なのだろうか。

  19. salt仙台

    今現在、やたらクサヒバリ?が鳴いている。(キンヒバリではない気がする。)仙台を出ることががそうそう無いので、県南や福島県がどうなっているか分からないが、年々顔ぶれが変化していることは間違いない。30年前には考えられないことが現在進行形で起きている。

  20. 高嶋 清明

    salt仙台さま
    鳴く虫は姿が見えなくとも、声だけで種類と大体の数がわかるので変化がよくわかりますね。私は鶴岡に移って17年ですが、その間、鳴く虫の生息域はずっと変化し続けているように感じます。たくましいです。自分も簡単に移動できるものなら、過ごしやすい場所を求めてどんどん北上していきたい。。。あ、でも冬に雪が少ないのはありがたいですね!

  21. salt仙台

    昆虫飼育マニアの私としては、温暖化は正直嬉しい。今まで身近にいなかった虫が増えるから。昆虫は、気温や環境の変化に正直ですね。しかし、将来的に考えると不安も感じます。昆虫は、一種のリトマス試験紙みたいなものなのだから。

  22. 高嶋 清明

    salt仙台さま
    これから先、日本の夏は、ますます人には住みにくくなるのでしょうね。
    昆虫や植物のたくましさがますます際立って見えることになるでしょう。人は生物としては能力が低いですから。

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